V-Ray GPU における AMD GPU サポート
この記事は [Chaosの Blog記事]の翻訳です
V-Ray 7, Update 3 より V-Ray GPUはHIPプラットフォームを通じてAMDハードウェアをサポートし、アーティストにハードウェアの柔軟性の向上、競争力のある16GB VRAMオプション、そして業界最高水準のアウト・オブ・コアレンダリング性能を提供します。
AMD GPUレンダリングが重要な理由
レンダリング用GPUの選択は、V-Rayユーザーにとって最も重要なハードウェア決定の一つですが、これまでは NVDIA社のGPUのみが選択肢でした。しかしハードウェアの選択肢が増える事で、アーティストはレンダリングワークフローの構築においてより自由度が高まります。既にAMDハードウェアを所有しているユーザーもいらっしゃるでしょう。最近新しいワークステーションを購入予定で、価格帯を大幅に上げずに競争力のある16GB GPUを求めているユーザーにとっても良い知らせになるでしょう。
V-Ray にAMD GPUのサポートを追加することで、V-Ray GPUユーザーはレンダリングシステムの構築と拡張において、より柔軟な対応が可能になります。
これまでのテスト結果は非常に良好です。全体的にパフォーマンスは安定しており、ほとんどのシーンは正しくレンダリングされ、期待通りの出力が得られています。特に、AMDはアウトオブコアワークロードにおいて優れた性能を発揮しています。

Ian Spriggs氏による「ユアンの肖像画」AMD Radeon RX 9070 XT上でV-Ray GPUを使用してレンダリングされました
AMDハードウェアへのV-Ray GPU対応の仕組み:HIPとHIPRTの活用
V-Ray GPUをAMDハードウェアに対応するにあたり、新しいバックエンドの検証、幅広いシーンセットにおける出力の一貫性テスト、そしてインコアレンダリングとアウトオブコアレンダリングの両方のシナリオにおけるパフォーマンス測定が必要でした。
AMD環境ではV-Ray GPUはAMDのGPUワークロード向けコンピューティングプラットフォームである「HIP」を介して動作します。また、現在開発中のAMDのレイトレーシングアクセラレーションパスであるHIPRTについても評価を行いました。
最も重要な結果は明白です。V-Ray GPUは最新のRadeonコンシューマーハードウェア上で良好に動作するようになりました。今回のテストセットでは、HIPがAMD環境において全体的に最も強力かつ安定した結果を示しました。
対応するAMD GPUと要件
V-Ray GPU HIPバージョンは現在、コンシューマー向けRadeon製品および一部のRadeon PRO製品において、最新のAMD GPU世代を複数サポートしています。
- 対応世代:RDNA2、RDNA3、RDNA3.5、RDNA4
- 推奨:RDNA3以降
- 最小対応ドライバー:AMD Software: Adrenalin Edition 26.2.2
現在サポートされているAMD製GPUは以下のとおりです:
- RDNA2: AMD Radeon RX 6950 XT, AMD Radeon RX 6900 XT, AMD Radeon RX 6800 XT, AMD Radeon RX 6800, AMD Radeon PRO W6800, AMD Radeon PRO V620.
- RDNA3: AMD Radeon RX 7900 XTX, AMD Radeon RX 7900 XT, AMD Radeon PRO W7900, AMD Radeon PRO W7900 Dual Slot, AMD Radeon PRO W7800, AMD Radeon RX 7800 XT, AMD Radeon RX 7700 XT, AMD Radeon PRO W7700, AMD Radeon
- RX 7600, AMD Radeon RX 7600 XT, AMD Radeon RX 7650 GRE.
- RDNA 3.5: AMD Radeon(TM) Graphics, AMD Radeon(TM) 8060S Graphics.
- RDNA4: AMD Radeon RX 9060, AMD Radeon RX 9060 XT, AMD Radeon RX 9070, AMD Radeon RX 9070 XT, AMD Radeon AI PRO R9700.
Radeon RX 9070 XTのご紹介
今回のテストでは、GPUレンダリングにおいて特に興味深い位置づけにある、最新のコンシューマー向けGPU、AMD Radeon RX 9070 XTに焦点を当てました。
AMDは、16GBのGDDR6メモリ、256ビットのメモリインターフェース、最大640GB/sのメモリ帯域幅を搭載していると発表しています。日本ではおよそ 12万円前後で発売開始されています。

Radeon RX 9070 XT
この組み合わせは、特にアーティストにとって魅力的なものとなっています。
- 16GBのVRAMは、本格的なレンダリング作業にも十分対応できる容量
- ワークステーション向けではなく、コンシューマー向けGPU
- 多くのユーザーがV-Ray GPUシステム構築の選択肢として現実的に検討できるハードウェア
- より高価なハイエンド製品と比較して、魅力的なコストパフォーマンスを提供
つまり、ニッチなハードウェアではありません。まさに、より幅広いV-RayユーザーにとってAMDのサポートが意義のあるものとなるようなGPUです。
より多くのメモリを必要とするユーザー向けに、AMDは32GBのVRAMを搭載したRadeon AI PRO R9700も提供しています。こちらはより高価な選択肢となりますが、AMDのエコシステム内で、より大規模なシーンや高負荷なメモリ処理に対応できます。
テストシステム
これらのベンチマークに使用したWindowsテストシステムは、以下のように構成されました。
- CPU: AMD Threadripper 3990X 64-Core CPU.
- システムメモリ: 256 GB T-Force DDR4-3600.
- マザーボード: ASUS ROG Zenith II Extreme Alpha.
- GPU: ASUS Prime GeForce RTX 5080 16 GB および ASUS Prime Radeon RX 9070 XT 16 GB.
- 電源: EVGA SUPERNOVA 2000W.
- CPUクーラー: ASUS ProArt LC 420 mm.
- V-Ray バージョン: Official V-Ray 7 Update 3 build.
- OS: Windows 11 25H2.
- NVIDIA ドライバ: Studio Driver 595.79.
- AMD ドライバ: AMD Software: Adrenalin Edition 26.2.2.
Apple製品のテストには、40コアGPUと48GBの統合メモリを搭載したM5 Maxプロセッサ搭載の16インチMacBook Proを使用しました。
このテストの目的は、単にベンダーを比較することではなく、各プラットフォームで現在利用可能なアクティブなバックエンドオプションを比較することでした。
- NVIDIA: CUDA and RTX
- AMD: HIP, with HIPRT still a work in progress
- Apple: Metal, MetalRT, and MetalXPU.
ここに示されているすべての結果は、公式のV-Ray 7アップデート3ビルドと、テスト実施時点で利用可能な最新のドライバーに基づいています。
V-Ray GPUパフォーマンス
現在のシーンセット全体を通して、AMDのパフォーマンスは概ね良好です。ほとんどのシーンは問題なくレンダリングされ、出力結果は期待どおりでした。特にRX 9070 XTは、16GBのコンシューマー向けGPUとしては優れたパフォーマンスを発揮しました。
インコア処理のシーンでは、ほとんどの場合RTX 5080が優位に立ち、AMD RX 9070 XTも非常に高いパフォーマンスでそれに続きます。
より広範な比較セットから得られた主な所見は以下のとおりです:
- AMDでは、現在のデータセットにおいてHIPが最も優れた結果を示しましたが、HIPRTは現在も評価中です。
- NVIDIAでは、テストしたシーンにおいてRTXがCUDAよりも一貫して高速でした。
- Appleでは、MetalRTがMetalよりも高速な場合と低速な場合があり、さらなる調整と評価が必要であることを示唆しています。
アウトオブコアレンダリングが重要な理由とは?
アウトオブコアレンダリングこそ、AMDの真価が発揮される分野です。

このスイッチを有効にする事でアウトコアレンダリングが実行されます
V-Ray GPUでは、「テクスチャにシステムメモリを使用」オプションにより、テクスチャメモリの負荷がシステムメモリに移行され、GPUのVRAMが解放されるため、メモリが限られたGPUでも大規模なシーンをレンダリングできます。
これは、実際の制作シーンの多くがGPUのオンボードメモリ容量に厳密に制約されないため重要です。
そして、まさにこの点でRX 9070 XTは際立っていました。今回テストしたアウトオブコアシーンでは、RX 9070 XTは単に競合するだけでなく、いくつかのケースではRTX 5080を明らかに凌駕し、現在のデータセットでは最大で数倍の高速化を実現しました。
アウトコアレンダリングは重いシーンや大規模なテクスチャセットを扱うアーティスト、あるいはVRAM容量が限られているアーティストにとって、これは非常に実用的な利点です。
Metalのテストでは、私がテストした16インチMacBook Proではシーンをレンダリングするのに十分な共有メモリがありませんでした。
結論
V-Ray GPUにおけるAMD GPUのサポートは、レンダリングシステムの構築方法においてより柔軟性を求めるユーザーにとって重要な前進です。
現在の結果は既に強固な基盤を示しています。
- V-Ray GPUは最新のRadeonハードウェア上で良好に動作すると判断できます
- テストしたシーンでは出力の一貫性が良好
- RX 9070 XTは、V-Ray GPUレンダリングにおいて信頼できるコンシューマー向けGPUオプションです
- アウトオブコアレンダリングは、現在の結果においてAMDにとって最も有望な分野の一つ
同時に、これはまだ発展途上の段階です。HIPRTは当面開発中です。
HIPRTのパフォーマンスが製品版として利用可能になった時点で、進捗状況をお伝えします。
しかし、現段階でも全体像は明確です。V-Ray GPUにおけるAMD GPUレンダリングは既に実現しており、アーティストにとって信頼性が高く、実用的で魅力的な新たなハードウェアの選択肢を提供しています。
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