V-Ray Maya の DR2 ベータテスト

V-Ray Mayaでは新しいNightliesビルド[ディストリビュートレンダリング2(DR2)]バージョンを搭載したビルドがリリースされています。

https://nightlies.chaos.com/main#/vraymaya7

ビルドに関して:
これらは「通常の」ナイトリービルドと一緒に表示されます。ビルド名に「dr2」というサフィックスが付いているので、見分けることができます。これはMayaのバージョンの後、OSの前にあります。
DR 2 ビルド = vray_adv_71030_maya2026_dr2_x64_33249_install.zip
旧 DR1 ビルド = vray_adv_71030_maya2026_x64_33249_install.zip

DR 2の利点:

バケットレンダリング
DR2ではスケーリングの制限がなくなりました。マシンを追加すればするほどレンダリング速度が向上します。以前のDR1システムでは、レンダリングプロセスに実際に参加できるサーバーの数には制限がありました。

プログレッシブレンダリング
DR2では多数のレンダリングサーバーを使用したプログレッシブレンダリングのパフォーマンスも向上しますが、バケットモードほど劇的な向上は見られません。これは、プログレッシブモードでは、多数のワーカーに作業を分割できないという性質があるためです。

ディスパッチャー
DR2ではディスパッチャーの概念が導入されています。ローカルマシンがディスパッチャーの場合、親は以前と同様にサーバー子機に直接接続します。ディスパッチャーが専用の独立したマシンの場合、親はディスパッチャーとのみ通信し、ディスパッチャーは残りのサーバー子機と通信します。親はレンダリングに参加しないため、GPUやCPUがそれほど強力でないマシンに適しています。ディスパッチャーとレンダリングサーバーは高速ネットワークリンク上に配置できるため、ネットワークスループットが大幅に向上します。これにより、クライアントのネットワーク容量の制限によって転送可能なアセットがボトルネックになっていた問題が緩和されます。 DR2サーバーは、一般的に高速なリンクを介してディスパッチャーとのみ通信するため、低速なクライアントネットワークハードウェアの影響を受けません。

アセットキャッシュの改善
アセットの一部またはすべてが既にプリキャッシュされているサーバーへのレンダリング開始リクエストの繰り返しが高速化されます。

レンダリング途中の参加/削除
レンダリング中でもサーバーを追加/削除できます。

ワークフロー

クライアント(親機):

クライアント(親機)は通常、Maya操作マシンであり、最終的なレンダリング画像を受け取ります。クライアント(親)はディスパッチャを兼ねる事ができます。これについては後ほど詳しく説明します。

DR1ビルド版 と DR2ビルドは互換性がありませんので注意してください。レンダリングサーバーを実行するには、親も子機も DR2 ビルドをインストールする必要があります。

レンダリングサーバー(子機):

レンダリング サーバーは、ディストリビュートレンダリングを実行する事を主なタスクとする個別のレンダリングマシンです。

レンダリング中にサーバーを追加/削除できます

vray.exe -server -portNumber=[選択したポート番号]

を実行します。オプションの -portNumber フラグを省略すると、デフォルトのポート番号 20209 (DR1とは異なる)が使用されます。

ディスパッチャ:

旧ワークフロー(DR1)では、親機とレンダリングサーバーの2種類のみがセットアップされ、親はサーバーと直接通信していました。

DR2では、親機、ディスパッチャ、レンダリングサーバーの3種類が存在します。親機はサーバーと直接通信せず、サーバーへの作業の送信を担当するディスパッチャとのみ通信します。ディスパッチャは親機でも、他のマシンで実行しても構いません。
原則として、親機はレンダリングには参加しません。設定(「レンダリングにディスパッチャを使用する」の有効/無効)に応じて、ディスパッチャとサーバーのみがレンダリングに参加します。ただし、ディスパッチャを親機マシンで実行し、ディスパッチャのレンダリングプロセスへの参加が有効になっている場合は、DR1の「ローカルマシンを使用する」と同等の動作になります。

レンダリング中にディスパッチャーを変更することはできません。

DR2ビルド版ではDR設定ウィンドウに新しくディスパッチャフィールドが追加されました。リモートディスパッチャのIPアドレス(またはホスト名)とポート番号を入力してください。サーバーリストのUIは変更ありません。空欄のままにすると、ローカルのディスパッチャを起動します。

親機のDR設定でディスパッチャをレンダリングに使用する(Use dispatcher for rendering )が有効にした場合は、ディスパッチャがレンダリングに参加します。無効に設定されている場合は、サーバーへのDR JOB送信のみを行います。リモートディスパッチャを使用する場合は、親機のこの設定は無視されます。リモートディスパッチャの場合、この設定はコマンドの引数として設定されるためです。

リモート ディスパッチャーの起動方法:

ディスパッチャとなるマシンに V-Ray for Maya または V-Ray Standalone の DR2 ビルドがインストールされていることを確認します。

以下の様にvray.exe を起動します

vray.exe -run-dispatcher=[1/2] -renderhost=["host{;host}"] -portNumber=[chosen port num]

-run-dispatcher=1 は、ディスパッチャがレンダリングに参加せず、サーバーに作業を転送するだけであることを意味します。
-run-dispatcher=2 は、ディスパッチャがレンダリングにも参加する事を意味します。

-renderhost (オプション) には、; で区切られたDR2サーバーマシンのIPリストを含める必要があります (サーバーは Maya UI からも渡すことができるため、オプションです)

-portNumber(オプション)でディスパッチャのポート番号を設定します。指定しない場合は、デフォルトポートの20209が使用されます。

ヒント: vray.exe -help を実行し、より詳細な説明と共に既存のすべての DR オプションを調べる事ができます。

ローカルディスパッチャーの起動方法:

Maya UI から実行します。

既知の問題:

  • DR2 ではレジューム・レンダリングが動作しません
  • IPR 中に領域レンダリングを追加するとクラッシュします
  • Deep EXR 出力画像をレンダリングするとディスパッチャがクラッシュする事があります
  • GPU 使用時にアイドル状態のデノイズを行うとレンダリングが黒くなることがあります
  • Chaos Vantage 3 [beta1]にLive Linkできません

いつものように、これはまだ開発中なので、予期しない動作が発生する可能性があります。試してみて、感想をお聞かせください。

Happy (distributed) rendering!

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