Vlado in Renderland 2019: V-Ray開発最新情報

Chaos Groupが SIGGRAPH 2019 で行った Vlado氏(V-Rayの開発主任)のプレゼンテーションビデオ “Vlado in Renderland | SIGGRAPH 2019” を公開しています。こちらでV-Rayの最新開発報告と今後の展開を知る事ができます。

興味深い点をノートしてみましょう。

まずは、Consistent Ligting Elements です。

旧バージョン(V-Ray 3)までは、「計算したデータ」をそのままエレメントに出力していましたが、V-Ray Next から「あるべきデータがあるべきエレメント」に出力されるようになりました。(V-Ray Next 内では consistent elements と呼ばれます。)

一番わかり易いのは Lighting/GI エレメントです。以下の図の様に旧バージョン(consistent elements 無効)では、ライトからの照明が一部GIエレメントにも乗っていますが、V-Ray Next (consistent elements有効)では、ライトからの照明は Lighting に乗り、GIエレメントには乗っていません。

同じく Specuar/Reflection エレメントにもconsistent elementsの影響があります。以下の図の様にV-Ray Next (consistent elements有効)では、Reflectionsエレメントにライトの反射は乗らず、ライトの反射(いわゆるハイライトやスペキュラ)はSpecularエレメントに出力されるようになっています。

なお、コンポジットフローの理由で、旧バージョンと同じ仕様(consistent elementsを使用しない)に戻したい場合はGlobal Swiches にある “Consistent Ligting Elements” のチェックを外してください。
(今後の事を考えると早めにコンポジットフローをNext用に再構築される事をおすすめします)

consistent elements は内部的な Light path expressions (LPE)に基づいて定義されているそうです。

その後、V-Ray Houdiniの発売開始と V-Ray CINEMA 4Dの現時点での実装デモ(IPRが動いています)をデモしています。

V-Ray GPU の改良として、RTXサポートが着々と進行しています。OptiX 7ベースで様々なパフォーマンス改良が可能となった様子です。その他 OSLのサポート、アウトオブコアがあります。リリースは今年の年末~来年初めくらいでしょうか。

以下は現行のCUDA版 V-Ray GPUと、RTX版 V-Ray GPU のレンダリング比較。複雑なシェーディング(テクスチャ含む)シーンで 1.7倍、シンプルシェーディングなシーンでは 2.3倍のベンチマークが出ています。

V-Ray GPU で OSLをサポートした事により、以下のようなパララックスマッピング(視差で変化)も利用できます。(単なる板ポリにOSLテクスチャを貼って動かしています)


アウトオブコアにより、GPUのメモリを超えるジオメトリを扱えるようになります。仕組み的には現行V-RayのProxy(Dynamic Geometry)と同じ様な実装で、Ray交差判定でVRAMに無いジオメトリはディスクからオンデマンドでVRAMにコピーされます。これによりほぼ無制限量のジオメトリを小さなメモリ量のGPUでレンダリングできます。

なお、ジオメトリキャッシュ量はユーザーが指定でき、現在の所は指定キャッシュの量がパフォーマンスに極端に反映されるとの事。(図のグラフ参考。キャッシュが少ない程パフォーマンスが低下)この辺りは改善の必要があり、より効率的なキャッシュができる様に取り組んでいるそうです。

Chaos Groupのリアルタイム「完全レイトレーシング」レンダラー Project Lavina の最新情報の報告もあり、ビューワー?の以下の仕様が公開されています:

・直接 vrscene を読込み(アニメーションサポート)
・新しいChaos Group製のリアルタイムデノイザーにより、リアルタイムにデノイズを適用
・マルチGPUサポート
・カメラ操作、ウォークスルー操作時の衝突検知
・マテリアルの割当変更
・オブジェクトの移動
・IBL環境マップのドラッグ&ドロップによる変更
・LUT によるカラー補正
・インタラクティブな被写界深度のピント調整
・オブジェクトの表示/非表示サポート

Project Lavinaの最新デモ:


Project Lavina の一般ベータ版が近く配布される様です、興味ある方はこちらのページからサインアップしてください。

https://www.chaosgroup.com/lavina


次に、ユーザー様(主に3dsMax版)より大変要望が多かった機能が2つ進行中です。あるいみ最もユーザーに恩恵があるかもしれません。

1つはChaos Group純正のマテリアルライブラリー。V-Ray Rhino/SkeychUpに付属しているライブラリのvrmatベースとは異なり、vrsceneベースで定義されているそう。

もう1つは 3dsMaxマテリアルエディタのプレビュー用シーン。こちらも .vrscene ベースでユーザーが自由にカスタマイズできるそうです。

あと VFB 2 に関しては開発が一時停止されているそうで、別の開発者が見つかり次第再開される模様。


V-RayProxy/V-RayScane オブジェクトの改良についてもアナウンスがあり、注目は USD/MaterialXのサポートです。

現在ホストアプリケーション(Mayaや3dsMax)の方でUSDとMaterialXのサポートが進んでいる様子ですが、Alembicの様にV-RayProxy/V-RayScaneオブジェクト経由で直接V-Ray側でUSDやMaterialXをサポートできないか調査しているそうです。

以上です。

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