3ds MaxのV-Ray UI描画速度に関して
後日追記:V-Ray 5 Update 2以降、VRayMtl、VRayFastSSS2、VRay2SidedMtl、VRayAlSurfaceMtl、VRayColor、VRayProxy、およびVRayClipperは、3dsMaxバージョン2018以降のGUIにQTを使用しており、以下の速度問題は解決されています。
Windows 10 + V-Ray 3dsMax環境利用時に、コンパクトマテリアルエディタや、レンダリング設定ウィンドウの描画が「どうももたついてる」と感じた事がないでしょうか。特にARNOLD等を使ってからV-Rayに切り替えた時に「V-RayのUI遅い」と感じる事があるかもしれません。
キャプチャビデオで見るとこんな感じです。
この原因は「V-Rayは古いWindows UI描画コントロール」を使ってV-Rayのパラメーターを描画している事にあります。
3ds Maxでは “3ds Max 2017″から「Qt」と呼ばれるクロスプラットフォームのアプリケーションフレームワークが導入され、プラグイン開発者はQtを使ってより手軽に柔軟なGUI環境を構築出来るようになっていますが、旧バージョンとの互換性を保つ為に引き続き古いWindows UI描画コントロールも利用可能となっています。Qt化された3dsMaxで古いWindows UI描画コントロールを使うプログラムは、内部でQtに相当する物に変換されて動作する様になっています。これにより、Qtネイティブで記述されたプログラムと比較して古いWindows UIを使うプログラムはUIの描画速度が遅いという結果になっています。
では「V-RayのUIをQtネイティブに書き直せばよいのでは?」と思うかもしれませんが、V-Ray は Qt化以前の 3ds Max 2016 を現在もサポートし続けています。最新の V-Ray 5 も 3dsMax 2016 で動作します。Chaos社ではまだ 3dsMax 2016ユーザーを見捨てていません。
(ARNOLD RenderのUIが早いのは 3dsMax 2017から登場し、最初からQtネイティブでUIが記述されている為です)
Qtネイティブ版のV-Rayを作成した場合、3ds Max 2016を切り捨てるか、Qtネイティブ版と非Qt版の2つのコードを管理するかのどちらかとなり、後者は保守が非常に複雑になります。なのでどちらを取るかは、Chaos社で現在検討中との事です。
なお、現在の状態でも「QTの描画ドライバーをDirect Xにすると少しだけUI速度が早くなる」というTipsが見つかっています。これは Windowsのシステム環境変数に QT_OPENGL = Angle と QT_ANGLE_PLATFORM = d3d9 を追加する事で切り替えできます。
なお、このTipsのご利用は自己責任となります。3dsMaxの描画が逆に変になったり、別のQt使用アプリケーションに影響がでる可能性がありますので、クリティカルな環境では最初から利用しないか、問題が発生した場合元に戻してください。
具体的な方法は以下です:
「コントロールパネル>システム>システムの詳細設定」「スタートボタン右クリック>システム>システムの詳細設定」等からシステムプロパティウィンドウを開きます。
システムのプロパティウィンドウ >> 環境設定タブ >> 環境変数 >> “システム環境変数” の「新規」ボタンを押して、QT_OPENGL = Angle と QT_ANGLE_PLATFORM = d3d9 の2つのシステム環境変数を追加します。
システム環境は、Windowsをログアウトするか再起動する事で初めて反映されますので注意してください。
弊社でのテスト結果はこのようになりました。コンパクトマテリアルエディタとレンダー設定ウィンドウも多少改善が見られます。
元に戻したい場合は、追加した2つの環境変数を削除して、Windowsをログアウトするか再起動する事で戻せます。
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